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− ジャーナル −

20
 ROJAN BORO vol.2
(ロージャン ボーロ)

 
     
     
 
 

 

#シティガイド #デザイン  

 

   
 
  ロージャンボーロ 立ち上げのストーリー

 
 

 

 
 

倉敷市児島地域にあるパティスリー「ROJAN BORO」は、古い街並みに馴染みながらも、洗練された雰囲気をまとっています。この特徴的な建物は、シェフパティシエの堂本佳世子さんの夫で、児島でデザイン事務所を営む堂本裕樹さんが幼馴染みの建築士や地元の友人と共に作り上げたものです。堂本裕樹さんに、この建物を作る経緯と地元への想いをお聞きしました。



テオリ

この物件を手掛けるに至った経緯を教えてください。


堂本裕樹さん

思い返せば12年程前に当時、妻が勤務していた三宅商店さんを一度退職し、独立をして小さなお店を持つつもりで準備を進めていました。しかし、ちょうどそのタイミングで林源十郎商店(三宅商店が手がける倉敷美観地区の大型リノベーション施設)の立ち上げが一気に動き出し、オープニングスタッフとして彼女は再びそちらで経験を積ませていただくことになりましたが、その後もいつか自分のお店を持ちたいという夢を常々持ち続けていました。


一方、私の生まれ育った地元である児島には、由緒があるものの人知れず空き家になっている物件も多くあります。現に私たちの住居兼、仕事場(IMAGINE DESIGN OFFICE) のスタジオとしてお借りしている建物もそのような場所の一つです。敷地内には数十年にわたり全く使われていない母屋や蔵などが幾つもあり、然るべきタイミングで残るその一部も活用させていただきたいと考えてはいたのですが、不動産管理会社さんの持つ別の構想があるとの事で、この場所での新たなステップは諦めざるをえませんでした。




 
工事初期の風景
ロケーションはジーンズストリートの近くの町家が並ぶエリア。
周囲の建物との調和もこの改装の大きなテーマ
 

テオリ

それが一つの転機となったのでしょうか?



堂本さん

当時は生まれ育った地元でという想いもあり、日々を過ごす場所を拠点に更に挑戦を考えていた為とても無念ではありましたが、私たちには出来ないようなレベルで残された建物が今後しっかりと活用され息を吹き返す事を今でも願っています。

そんな事情もありその後も児島近辺で物件を探していましたが、なかなか心に響く場所は見つかりませんでした。
そんなある日、偶然にも今お店を構えている物件が売りに出ていることをインターネット上で見つけ、翌日すぐに連絡をして内見に行きました。そこはまだ少し生活の気配が残るいわゆる老朽化した民家でした。しかしその場所は、私が幼い頃の毎日のように歩いた通学路の目と鼻の先であり、ちょうど小学生になる私たちの子供もこの地域で育っていくんだと感じたと同時に、この物件でお店を開こう!と決心し、妻も楽しみにしてくれました。


最初に内部の解体を進めるにあたり業者さんに見積もりをお願いしたところ、想像を遥かに超える費用がかかることが分かりました。これから一世一代のスタートを切ろうとする私たちにとっては、解体費用に多くの予算を割くことは到底できず、もうこれは自分でやるしかないと腹を括りました。
この場所に見た事ないような素敵なお店を作るんだと夢みながら、数ヶ月に渡り黙々と解体作業に励みました。
地元の友人や仲間も数多く手伝いにきてくれ、本当にとてもありがたかったですね。

堂本さんの友人たちも
力を合わせてお店を作っていった
     
     
 

 

テオリ

特徴的なファサードのコンクリート壁は、構造上の補強ですか。



堂本さん

補強の意味もあるのですが、この建物の改修図面を描いてくれた幼馴染の建築士と一緒に、倉敷の建物を数多く手がけた建築家、浦部鎮太郎さんへのリスペクトを込めています。浦部鎮太郎さんは傾斜したコンクリート壁などによって、伝統的な町並みと「調和」する近代建築を志向しました。その意思を私たちなりにも取り入れようと思いました。

そして、建物奥に鎮座する蔵には倉敷を象徴する「海鼠壁」が施されており、この景色を通り面からも見えるよう大きなガラス開口にすることも当初から構想していました。
このイメージが具体化すれば、地元の方々をはじめ、首都圏や海外の方が来られても、地域の人間の手でここに残り続ける建物だと誇れるものになると思いました。

 
     
   
   
 




テオリ

本業のデザインや撮影に加えて、内装工事の依頼がきてしまいそうな出来栄えですね。



堂本さん

私自身がこのような作業がとても好きで向いていたのもあるのですが、様々な作業を自身でも行なったことで、本業の方のご苦労や偉大さがよく分かりました。このお店の外観を象徴する鉄製の窓枠も、半世紀に渡り溶接業をしている私の父にお願いしましたが本当にこれ以上ない素晴らしい出来栄えで、ご興味のある方々からもこの鉄金物はどこで作ってもらったのとのお声をよくいただきます。父の培ってきた技術や手仕事を子供達の目に見える形で残せた事はとても嬉しく本当に宝物ですね。

 最後になりますがその窓枠の手摺の中間にも、さりげなく唯一無二の小さな作品が4つ埋め込まれています。(ぜひ、お店で実物をご覧ください。)



テオリ

本日はありがとうございました。

 

 
     
   
     
 

2023年10月、「ROJAN BORO」の2号店となるカフェがアパレルショップと併設形式でオープンしました。

塩田の街から学生服、ジーンズの街に変化してきた児島ですが、地元に思い入れのある人々によって、少しづつ次の変化が訪れています。

 
     
  ROJAN BORO enclave
(ロージャン ボーロ エンクレ―ヴ)
住所:岡山県倉敷市児島下の町9-3-34
HARVESTY shop内

木・金曜日 13:00-17:00(L.O 16:30)

instagram.com/rojanboro.enclave




 
     
 
ROJAN BORO
(ロージャン ボーロ)
住所:岡山県倉敷市児島味野1丁目8−13
www.instagram.com/rojanboro.jp/




 
     
         
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倉敷の物語vol.2
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ROJAN BORO vol.1
美しいこだわりのパティスリー、ロージャン ボーロ

 
     
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