倉敷市児島地域にあるパティスリー「ROJAN BORO」は、古い街並みに馴染みながらも、洗練された雰囲気をまとっています。この特徴的な建物は、シェフパティシエの堂本佳世子さんの夫で、児島でデザイン事務所を営む堂本裕樹さんが幼馴染みの建築士や地元の友人と共に作り上げたものです。堂本裕樹さんに、この建物を作る経緯と地元への想いをお聞きしました。
テオリ
この物件を手掛けるに至った経緯を教えてください。
堂本裕樹さん
思い返せば12年程前に当時、妻が勤務していた三宅商店さんを一度退職し、独立をして小さなお店を持つつもりで準備を進めていました。しかし、ちょうどそのタイミングで林源十郎商店(三宅商店が手がける倉敷美観地区の大型リノベーション施設)の立ち上げが一気に動き出し、オープニングスタッフとして彼女は再びそちらで経験を積ませていただくことになりましたが、その後もいつか自分のお店を持ちたいという夢を常々持ち続けていました。
一方、私の生まれ育った地元である児島には、由緒があるものの人知れず空き家になっている物件も多くあります。現に私たちの住居兼、仕事場(IMAGINE DESIGN OFFICE) のスタジオとしてお借りしている建物もそのような場所の一つです。敷地内には数十年にわたり全く使われていない母屋や蔵などが幾つもあり、然るべきタイミングで残るその一部も活用させていただきたいと考えてはいたのですが、不動産管理会社さんの持つ別の構想があるとの事で、この場所での新たなステップは諦めざるをえませんでした。
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