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2005年11月に開催された国内最大級のデザイン関連見本市「100%Design Tokyo」では、業界内では全く無名の地方メーカー、テオリの「竹集成材プロジェクト」ブースが国内外のバイヤーの目を引いた。展示会での大きな反響を受けて、2006年の2月には翌年の100%Design Tokyoへの出展を目標に、引き続き三原鉄平助手と5人のデザイナー、テオリによる次期開発がスタートした。既にプロジェクト体制が構築されていることで、竹の新たな加工技術に挑戦し、試作を繰り返して完成度を高める余裕が生まれた。
現在ではテオリの最量販商品となっている壁掛け鏡「ZERO」は、集成材を生産するための高周波接着機を応用し、竹を環状に成形する試みから生まれた。既に試作初期から完成度が高く、デザイナーのイメージが濁りなく実現された。
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小物一番人気のZEROも
この時生まれた
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竹の等高線が目を引く
「YAMAYAMA CENTER PIECE」 |
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現在は廃盤となっている「YAMAYAMA CENTER PIECE」は、防腐処理方法の異なる二色の竹集成材を重ね合わせて3Dフォルムで削ることで、等高線のような模様を描き出した。実用品というよりもアートピース的であり、また掘削と仕上げに時間がかかり高額になることから、素材の特徴を伝えるためのメディア的商品として、当初から限定生産を想定していた。 |
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家具の中心となる「TENSION」の誕生 |
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竹の弾性を活かした座面を持つダイニングチェア「TENSION(テンション)」は、部材に隙間を設けることで構造材とクッション材を兼ね備える着想から生まれた。
部分試作による耐久テストを重ね、割れを抑えつつ製造しやすい形状を探った。また竹は繊維方向が均一なため、木工で一般的な接合方法であるホゾ接合(突起と穴を差し込む接合)では穴側が割れやすいという欠点があった。この課題に対処するために、薄い部材を直行方向に重ね合わせて接着する「クロスレイヤージョイント(2023年5チェアの構造に活かされ実用新案登録)」はこの時に開発された。
竹の強度を活かしながら欠点を補う独自工法として、以後のテオリの家具に欠かせない技術となった。
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「竹のしなりを座り心地に活かす」という
家具の常識にとらわれないテーマに挑み、
沢山の試作を重ねながら、少しづつ製品に近づけた。 |
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2度目の100%Design Tokyo出展 |
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試行錯誤と60以上の案が検討され、約30案の試作が行われたが、最終的には商品化が見込める18アイテムに絞り込まれた。
資金的・時間的都合から、カタログやホームページのデザイン、写真撮影や展示計画もデザイナーチームが担当し発表の準備を整えた。
2006年11月、再び神宮外苑で開催された「100%Design Tokyo」にて、「竹集成材プロジェクト」の新たな商品群が発表された。
初年度の出展では、コンセプトモデルとして発表したものの生産の目処が立たず、最終的に発売できなかったアイテムがあったことから、販売可能なアイテムに絞り込んで展示を行った。
展示会は前年にも増して反響があり、メディア掲載などを通じて竹集成材とテオリが業界内に知られ始め、インテリアショップでの取扱いも徐々に増えていった。さらに関係者の推薦により、2006年秋には「NUTS」「BOW」が、2007年には「TENSION」がグッドデザイン賞を受賞するなど、テオリにとって飛躍の年となった。しかし飛躍はそれだけに留まらず、この勢いで海外進出にまで突き進むこととなる。 |
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